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行列のできる法律相談所:太陽光発電が高層マンションで台無し?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:太陽光発電が高層マンションで台無し?!

太陽光発電が高層マンションで台無し?!

 男性Aは、自宅の為に太陽光発電システムを導入。
 200万円もしたので、元が取れるまで10年かかるとなっていたが、毎月の売電は順調に進んでいて、10年で確実に元が取れると思われた。
 が、そんなある日。
 近くに高層マンションが建った。
 日照時間が短くなってしまい、売電の額は半分になってしまった。
 これではいつまで経っても元が取れない、と判断し、マンションの建設会社と掛け合うが、建設会社は地周辺住民の了解は既に得ていて、建築基準法にも違反していない、と言い張る。
 男性Aは激怒。
 日照時間を短くした高層マンションの建設会社から損害賠償を得られるのか?!

北村弁護士の見解:損害賠償は取れない
これは基本的に取れないと思います。日照権というのは人間らしく生活する権利、つまり『陽が当たる所で生活したい』という人間らしい欲求、それは一定の保護の値するという事なんですね。しかし本件のソーラーパネルというのは、『人間らしい生活をしたい』という本来の意味ではなくて、どちらかというとお金を儲けようという経済活動なんですね。まず無理でしょう

大渕弁護士の見解:損害賠償は取れない
日照権侵害については、受忍限度を超えない限りは不法行為になりません。受忍限度とは日常生活において通常このくらいは我慢する事が出来るだろうという限度なんですね。本件については、
・発電量は減ったとはいえゼロにはなっていない
・建築基準法にも違反していない
 そういう状況で売主にそこまでの配慮をさせるのは酷だろうと考えられるので、それくらいは我慢する限度の範囲内という事になります


 北村・大渕弁護士の見解によると、日照権とはある土地にある程度の日当たりがある事が保証される権利で、日が上がってから日没まで太陽光に当たれますよ、という事ではないらしい。
 当然といえば当然。
 日光を1分でも遮ってはならぬ、となったら高層建築はおろか、民家と民家の空間も物凄く広げなければならない事になってしまう。
 そもそも1日中日に当たる場所というのも、それはそれで困ると思うし。(^~^;)

菊池弁護士の見解:損害賠償は取れない
例えば一戸建ての家がソーラーパネルを付けました、そうするとソーラーパネルを付けた人は自分に当たる太陽を独占する訳ですね。だけど、太陽光というのは日本の様に人が密集して暮らしているという社会を考えると、時間とか角度とか季節とか、(太陽光は)有限なんですね。その有限の資源を早いもの勝ちで『私ソーラーパネル付けました→ここは誰にも邪魔させません』。これはちょっと無理なんです

本村弁護士の見解:損害賠償は取れない
太陽光発電が普及するにしたがって、実際にトラブルは増えており、裁判になる例も出始めています。しかし、やはり今の法律では損害賠償が認められ難いだろう、というのが現状なんです。ではどうしたらいいか? 例えば都市計画によって、隣の土地が将来高層マンションが建てられる土地なのか、あるいは低層の住宅しか建てられない土地なのかという事は調べればある程度予測がつきますから。将来絶対に日当たりが悪くならないように万全の手を打っておきたいという場合は、隣の土地の所有者と交渉をして『将来、高い建物を建てない』と約束してもらう、その代わりにお金を渡すという契約をする方法が一応あります。こういうのを地役権と言います

 菊池・本村弁護士の見解は、ソーラーパネルの導入者に対し、「ソーラーパネルを取り付けたからという理由だけで、周辺の土地の利用法についてあれこれ口出しする立場にない」という事らしい。
 逆に男性Aが騒ぎ立て過ぎると、「お前がソーラーパネルなんか導入しやがったから、俺は自分の土地にマンションが建てて家賃収入を得られないじゃないか! その分を賠償しろ!」という事態になりかねない。

 今回、男性Aはマンション建設会社を訴えたが……。
 何故ソーラーパネル販売会社を訴えなかったのかが分からない。
 販売する者として、周辺を調査して、国や自治体による都市計画等、高層建築が将来にわたって建たない事を把握した上で売り付けるべきではなかったのか。とりあえず売って、設置した後の責任は取りません、では無責任過ぎる。
 それとも10年で元が取れます、というのは、純粋に装置の性能説明で、設置された場所の状況等を全く考慮していなかったのか。「販売者としてそこまで面倒は見切れません。それはお客様側で対処してくれないと」という事で。それも無責任である。

 最近はソーラーパネルの導入や、売電が何卒もてはやされているが……。
 安易に導入すると、ただ損するだけらしい。
 そもそも10年で元が取れる、という謳い文句も疑わしい。メンテナンスや、故障も有り得るし。(^~^;)





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ブロガー(志望)

お邪魔します。
 ソーラーパネルの会社が自社の建物の屋根に太陽光パネルを設置しているのか、また電力(販売)会社が自社の建物の屋根に太陽光パネルを設置しているのかを知りたいです。また自然エネルギーはその性質に見合った使い方等をするべきだと思います。例えば「災害時等の電源として公共建築等の屋根に設置」とか。
by ブロガー(志望) (2013-02-16 10:56) 

tsumutak

災害時のみの利用だと、ほぼ利用されないのにメンテ費だけはかかる、という事になりかねません(災害は忘れた頃にやって来ますが、そう頻繁に起こりませんし)。(^~^;)
by tsumutak (2013-02-17 22:48) 

つるゆう

これはさすがに取れません。
日照権に関する事は問題にはなっていますが、建設会社は地周辺住民の了解は既に得ていて、建築基準法にも違反していない訳ですから今回は高層マンションを建てても良い訳です。反対意見があるなら自分が反対派の立場に回れば良くて、更に反対派の仲間を増やさなければなりません。今の日本は「多数決の原理」で成立していますから、少数派の意見はあまり尊重されません。これが嫌なら住む国を変えるかこの相談者が政治家になって自分の思うように法律を変えるかするしかない訳なんですね。
by つるゆう (2015-05-23 08:47) 

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