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行列のできる法律相談所:既婚者相手の婚約破棄の慰謝料は?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:既婚者相手の婚約破棄の慰謝料は?!

既婚者相手の婚約破棄の慰謝料は?!

 女性AはOL。
 妻子のある上司Bと不倫関係にあった。
 女性Aは、上司Bとの関係が行き詰っていると感じたので、別れようと持ちかけた。
 しかし、上司Bは言う。自分は妻とは現在家庭内別居状態で、結婚は事実上破綻している。いずれ別れる、そうなったらお前と結婚したい、と。
 上司Bは、まだ妻がいるにも拘わらず、女性Aにプロポーズしたのだった。
 女性Aは、その言葉を受け入れる事に。
 二人は婚約した。
 女性Aは、上司Bから婚約指輪まで貰った。
 それから数日後。女性Aは、上司Bと会う約束をしていたが、彼は現れなかった。
 電話を入れてみると、上司Bは言う。娘に泣き付かれた、妻ともう一度やり直すつもりだ、と。
 女性Aは激怒。婚約までしたのに、それはない、と。婚約を破棄する以上、慰謝料を貰う、と宣言。
 上司Bは、自分は既婚者だから、そもそも婚約は不可能だ、したがって婚約は無効だ、と。
 女性Aは慰謝料をいくら貰えるのか?

北村弁護士の見解:100万円
本来、結婚している人と婚約は成立しません。これは原則です。ただこの場合は、家庭内別居でこの家庭は破綻していたという前提です。会話もない、同じ家に住んでいるだけで一緒に食事もしない。ただそこにいるだけどいう状態であれば、実際に離婚して(別の人と)結婚する可能性が充分ある訳です。破綻している場合には婚約は有効に成立するのです。これを一方的に破ったのであれば、婚約破棄の慰謝料として相場程度だと思います
 本村弁護士の見解に対して:
同居と別居で破綻が決定的に違う訳ではないです。物事を結果からだけ判断するのは間違っています。何故なら、破綻していても、これが何かのきっかけで元に戻ることはあるからです

住田弁護士の見解:100万円
彼女は、法律上保護されるような婚約の成立が、認められるかという事です。夫婦に対してその関係を壊す・侵害する行為は、法的に保護されないですが、夫婦関係が終わっている時の婚約は、法的に保護されるという事なんです
 本村弁護士の見解に対して:
普通の裁判では破綻しているかが争点なんです。その関係を全然言わずに原則ばかりおっしゃってます

 北村・住田弁護士の見解は、支離滅裂。
 VTRをちゃんと観ていたのかも疑わしい。
 原則(既婚者は別の女性と婚約出来ない)を完全に無視して、例外(結婚が事実上破綻している場合)だけに焦点を当てている感じ。
 北村・住田弁護士は、上司Bの結婚生活が完全に破綻していた為別の女性と婚約するのは可能、と言っているが、上司Bは家庭内別居をしていただけで、結婚生活が完全に破綻していた、と言い切れない状況にあった(北村弁護士は家庭内別居でも単に同じ屋根の下で暮らしている場合は完全に破綻していると見なせる、と力説するが、その理屈が通るとなると熟年夫婦の大半は関係が破綻している事になってしまわないか)。
 VTRでも観られた様に、上司Bは子供に泣き付かれただけで妻と寄りを戻す事を決断するのだから、上司Bと妻の関係が完全に冷え切っていたとは到底思えない。

石渡弁護士の見解:20万円
今回トータルで見ますと、夫は妻と同居もしているし小さい子供もいます。もしかしたら『破綻していないかも知れない』と、少し慎重になる必要があったと思います。彼女が100%被害者とは言い切れないという意味で、少し慰謝料を低くしました

 石渡弁護士の見解は、北村・住田弁護士のより常識的だが……。
 それでも慰謝料支払いを認めるのはおかしい。

本村弁護士の見解:0円
既に結婚している男性が、妻以外の女性と不倫関係に落ちその女性と婚約をしてしまった。この夫の行為は妻に対して不貞行為となります。一方、不倫相手の女性も、妻に対して不倫の慰謝料を払わなければならない立場にあります。不倫関係にある男女の婚約をもし有効と認めてしまうと、本来許されない男女の結婚の実現に法律が手を貸す事になります。これは明らかに不合理です。したがって、公序良俗に反する約束として、無効であると考えるのが妥当です
 住田弁護士・北村弁護士の見解に対して:
この場合は破綻していたとは言えません。実際は同居しているし、結局子供に泣き付かれて、奥さんのところに帰っている訳ですから

 本村弁護士の見解は、今回は最も理屈に沿ったものといえる。
 女性Aと上司Bの関係は、不貞行為である以上、何の権利も生じない。
 上司Bが女性Aに対し交わした婚約も、無効と見なすのが適切だろう。
 結婚生活がまだ継続しているのに他の女性と婚約可能で、しかもその婚約を破棄したら慰謝料支払いが発生する、となったら、本村弁護士が指摘している様に不倫を合法化する事になりかねない。

 今回ケースで一番馬鹿なのは、当然ながら妻子ある立場にありながら部下と不倫していた上司Bである。

 しかし、女性Aも相当な馬鹿。
 自分が不貞行為している、という自覚が全くない
 元々行き詰まりを感じて上司Bと別れるつもりだったのだから、「やはり妻と寄りを戻す」と言われた時点で不倫相手ときっぱり別れれば良かった(婚約指輪をそのまま貰って)。上司Bの妻は不倫について気付いていなかった様なので、被害は最小限で済んでいただろう。
 が、婚約破棄の慰謝料(大した額にはならないと予想される)の為に上司Bを訴えてしまった。
 訴えた以上、表に出ない訳にはいかない。
 となると、自身の存在を上司Bの妻に知られてしまう訳である。
 当然ながら、上司Bの妻は女性Aを訴えるだろう。そうなったら、100万円(20万円かも)の慰謝料なんて直ぐ吹っ飛ぶ。
上司と不倫していた女」の汚名を着せられ、会社にも居辛くなるだろうから、退社を余儀なくされる。
 上司Bの妻から多額の慰謝料をふんだくられ、職も失うのだ。
 無論、上司Bと一緒になる事は絶対無い。
 女性Aはそういう事も考慮した上で上司Bを訴えるつもりか。

 その意味でも、北村・住田・石渡弁護士の見解は、意味不明。
 まともな弁護士なら、女性Aに対し、「そういう訴訟を起こすと、今度はあなたが上司Bの妻から訴えられますよ。あなたは絶対損するでしょうから、無闇に訴訟を起こさないのがあなたの為です」とアドバイスするだろう。
 それとも北村・住田・石渡弁護士は、「とりあえず上司Bを訴えなさい。上司Bの妻からの慰謝料請求は、また別に争いましょう」とでもいうのか。
 弁護士としては、裁判が泥沼化すればその分報酬を請求出来るから万々歳なのかも知れない。
 が、モラルが問われる。

瓦版さんの意見:
こんなもん、当然、0円に決まっています。見解についても本村弁護士の見解のみが合理的で、、他の3人の弁護士の見解は今回の婚約は不倫により成立していることを見逃しています。津村さんも御指摘の通り、これは飽くまで不倫です!と言うことは当然、女性Aには何の権利も生じないどころか逆に上司Bの妻(C?)に対して慰謝料を支払う義務があるわけです。婚約関係にある状態が続いている以上、いくら婚約したってそんなものは無効。慰謝料も取れるわけがありません。津村さんの「仮に上司Bを訴えて、慰謝料を請求して、仮に20万円でも100万円でも取れても、今度は逆に上司Bの妻(C?)から訴え返されて、逆にそんな金などあっという間に打っ飛んでいくことになるから、あんたがいくら上司Bに対して訴訟を起こしたとしても、最終的にはあんたが損するだけだ。」と諭すという指摘も非常に的確で、本村弁護士以外の3人の弁護士はもっと勉強するべきだと思いました。まぁ、確かに弁護士業は所詮サービス業。そのような手段で金稼ぎをするモラルのない弁護士はいてもおかしくはないでしょうが、碌な弁護士ではないとでも言っておきましょうか。まぁ、それはともあれ、今回の案件において女性Aが上司Bからは慰謝料なんか鐚一文取れるわけがないということですね!

たくやさんの意見:
僕の本村弁護士の意見に共感していたのですが、本村弁護士よりキャリアが上の北村、住田両弁護士が相当な勢いで反論していましたのでね「原則ばっかり言うななど)やはり素人と弁護士は感性が違うのでしょうか。

 北村弁護士らは、本村弁護士に対し「原則ばかり言っている」と批判していたが……。
 原則こそが重要なのであって、例外はあくまでも例外だと思うのだけど……。(^~^;)





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瓦版

こんなもん、当然、0円に決まっています。見解についても本村弁護士の見解のみが合理的で、、他の3人の弁護士の見解は今回の婚約は不倫により成立していることを見逃しています。津村さんも御指摘の通り、これは飽くまで不倫です!と言うことは当然、女性Aには何の権利も生じないどころか逆に上司Bの妻(C?)に対して慰謝料を支払う義務があるわけです。婚約関係にある状態が続いている以上、いくら婚約したってそんなものは無効。慰謝料も取れるわけがありません。津村さんの「仮に上司Bを訴えて、慰謝料を請求して、仮に20万円でも100万円でも取れても、今度は逆に上司Bの妻(C?)から訴え返されて、逆にそんな金などあっという間に打っ飛んでいくことになるから、あんたがいくら上司Bに対して訴訟を起こしたとしても、最終的にはあんたが損するだけだ。」と諭すという指摘も非常に的確で、本村弁護士以外の3人の弁護士はもっと勉強するべきだと思いました。まぁ、確かに弁護士業は所詮サービス業。そのような手段で金稼ぎをするモラルのない弁護士はいてもおかしくはないでしょうが、碌な弁護士ではないとでも言っておきましょうか。まぁ、それはともあれ、今回の案件において女性Aが上司Bからは慰謝料なんか鐚一文取れるわけがないということですね!
by 瓦版 (2010-10-25 19:19) 

たくや

僕の本村弁護士の意見に共感していたのですが、本村弁護士よりキャリアが上の北村、住田両弁護士が相当な勢いで反論していましたのでね「原則ばっかり言うななど)やはり素人と弁護士は感性が違うのでしょうか。
by たくや (2010-10-26 20:55) 

瓦版

たくやさん、初めまして。今後も何卒宜しく御願いします。まぁ、俺が個人的に考えるにたくやさんはたくやさんのお考えを貫けばいいだけだと思いますよ。あまり難しいことは考える必要はないんです。ここはただ単に様々な考えの持ち主が自分の考えを言いたい放題言う場なんです!まぁ、確かにたくやさんも仰るように例外も大切ですが、物事の考えなんて十人十色であって当たり前なんです。だから、自分は自分、相手は相手と言う考えでいいと思います。自分の考えが正しいと思うのならば、自信を持った方がいいと思いますので、それはそれでいいと思います!俺は上で述べた考えが正しいと思うので、ああ言う見解を出したまでのことです。そういうことなんですよ。
by 瓦版 (2010-10-26 23:46) 

電車侍

これは当然、慰謝料は取れますね。本来、既に結婚している人とは婚姻関係は成立しません。これは当たり前です。ただですね、この場合は上司の家庭は、家庭内別居と言う事で法律上は破綻していたと言う訳です。会話も無く、ただ同じ家に住むだけで、一緒に食事をしないと言う状態であれば、実際に上司の方も、離婚して別の人と結婚する可能性が十分ある訳ですよ。言いかえれば、婚姻関係が破綻している場合の婚約は有効に成立すると言う訳です。それを一方的に破った訳ですから、この場合はちゃんと婚約破棄として慰謝料を払わなければいけない訳ですね、はい。以上です。
by 電車侍 (2010-10-27 18:04) 

つるゆう

慰謝料は取れますが、せいぜい2〜3万円位でしょう。
昭和44年9月26日の最高裁の判例では「不倫であっても一定の限度で保護される」というのがあるそうです。どういう事かと言うと、不倫は飽くまでも奥さんに対しては違法ですが、当事者の間には貞操義務はありませんから違法でもなんでもない普通の恋愛なんです。奥さんに対して違法な事をしているという事をお互いに納得しないと不倫なんて出来る訳ありませんから、不倫をやっている者同士は50/50の関係です。という事は、お互いに非があってもこれ以上マイナスの事をやったらそちらの方が結果的に悪くなるので若干の法的な制裁を受けなければいけなくなる、という事になります。
by つるゆう (2015-05-26 22:38) 

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