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行列のできる法律相談所:隣の部屋はいわく付き?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:隣の部屋はいわく付き?!

隣の部屋はいわく付き?!

 女性Aは主婦。
 夫と共に、都内の賃貸マンションに引っ越してきたばかり。
 直ぐ隣の部屋が空き部屋だったので、近くの入居者にいつから空いているのか、と訊いてみたら、衝撃の事実を知る。
 その隣の部屋は、1ヶ月前に自殺者が出たいわく付きの物件だったのだ。
 女性Aはびっくり仰天。
 不動産屋に直ちに駆け込み、この事を問いただす。
 不動産屋は言う。自殺者が出た部屋そのものを紹介する場合、告知する義務はあるが、隣の部屋の場合、その義務はない、と。
 女性Aは納得しない。知っていたら越さなかった、と。
 女性Aは、引越し費用を請求する事に。
 隣の部屋がいわく付きで、その事実を知らされていなかった場合、慰謝料は取れるのか?

判決」では、次の見解が:

北村弁護士の見解:取れない
霊なんていない訳ですよ。お化けもいない訳です。隣の部屋に自殺者が出たから『気持ち悪い』は気のせいなんで、それを一々保護できません。この場合に言わなきゃ駄目だと上下の部屋・向こう三軒両隣、全ての部屋に言わなくてはいけなくなる。それを聞いた人は『とりあえず止めとこうかな?』という事になるでしょ。そうしたら自殺者が出た部屋の周り五、六軒は賃貸料・売価が下がる。そうしたら莫大な損害請求を自殺者の遺族が負わなければいけなくなる。これは大変不都合な事になるからその部屋だけと限定しないと大変な事になる
 本村弁護士の発言に対し:
それを『保護する』と言い出したら、みんなそんな気持ちになるんです! そうかな、そうかな、てなっちゃうんです。意味がない!

 北村弁護士の見解は、合理的と言えば合理的。
 自殺者一人のお陰で、何軒もの物件が貸せなくなってしまったら、不動産屋としては堪ったものではない。
 その一方で、「霊なんていない。お化けもいない」と完全に切り捨ててしまうと、自殺者が出た部屋そのものについても告知する義務がなくなる、という見方も出来てしまう。
 それはいくら何でもおかしい。
 不動産屋が自殺者の遺族に対し損害請求を負わせる可能性がある、と北村弁護士は言うが、その手の損害賠償請求が有効なのか、疑わしい。
 人間が生活する空間(場合によっては人間が死ぬ空間)を貸し出すのだから、不動産屋はこの手のリスクくらい感受すべきだろう。全く感受できない、というなら不動産業から手を引くべきである。

住田弁護士の見解:取れない
やっぱり『自殺があった部屋はイヤだ』と、殆どの方が気持ち悪いとか嫌な気持ちを持つ訳ですね。こういう気持ちに対して際限がない。ある程度、社会生活上は受け入れましょう。受任限度という形で線引きをしましょうとして、今回は隣室までは保護しない。この考えで良いと思います

 住田弁護士の見解は、北村弁護士の見解内容と似ているが、こちらの方が説得力がある。
 ある程度の線引きはしなければならない。
 ただ、隣の部屋について全く告知しなくてもいい、というのはどうかと思う。
 今回のケースでは自殺は1ヶ月前で、近所で噂にもなっているのだ。
 無論、「では、自殺からどのくらいの期間まで告知する義務があるのか?」という問題も生じるが。

石渡弁護士の見解:取れる
宅地建物取引業法というのがあって、プロの不動産業者さんが仕事として仲介をする以上は借りるか借りないかを判断する為に『必要な情報は告知してくださいよ』と書いてあるんですね。やはり隣の部屋は壁一枚で距離にして10センチ位の可能性が高いですよね。それで自殺が1ヶ月前ですし、噂も立っているようですので告知義務が発生するんじゃないかなと考えています

本村弁護士の見解:取れる
不動産業者に告知義務があるのは借り主が契約をするかどうかの重大な判断に重要な影響を及ぼす事項なんです。つまり『隣の部屋でつい最近自殺者が出た』という事が果たして借り主が契約を躊躇うほど重要な影響を及ぼすかどうかという問題なんです。ここでポイントは、重要な影響があるかないかは一般人の感覚を基準にするんです。つまり人によっては『霊なんていない』、『気にならない』と言う変わり者もいるかもしれない。しかし普通の人は『ちょっと怖い』、『気味が悪い』と思うでしょう。 そんな部屋にあえて住みたいと普通の人が思うかどうかです。普通は契約を躊躇うでしょう。だとしたらその事はちゃんと告知をしなければならないことになります
 北村弁護士の発言に対し:
あなたを基準にしていたらおかしいんです! 一般の人を基準にしないといけないんだよ!

 石渡・本村弁護士の見解は、『入居希望者が入居すべきか否かを判断するのに必要な情報を全て提供すべき』という法律に基づいている。
 不動産屋が全く知らなかった場合は止むを得ないが、今回のケースでは不動産屋が情報を把握していた以上、不動産屋の都合で「この情報は提供しよう」「この情報は提供すべきでない」と勝手に判断してはならない。
 世の中には変り者がいるのだから、正直に「この部屋は自殺者が出た部屋の隣です」と申し出れば「あ、そう。だから何?」と言って借りに来る客もいる筈。
 そういう顧客を探し出して物件を貸すのが、不動産屋の本来の仕事だろう。

電車侍さんの意見:
これはもう、完全に告知義務が発生して当たり前です。今回は石渡・本村弁護士の考えが妥当で、北村・住田弁護士は不動産業の事を理解していませんね。この問題のポイントは、自殺者の部屋があるマンションに人が住みたいと思うかどうかです。確かに、人によっては「霊なんていない」「幽霊やお化け等非科学的」だと言う変わり者もいるでしょう。しかし、普通の人だったら「気味が悪い」「恐ろしい」「怖い」等と考えるのが当たり前です。自分は後者の見方をしますね。また、プロの不動産業者が入居者のサポートをする以上は、借りるのか、借りないのかを判断する為に、必要な情報は全て告知しなければなりません。これは宅地建物取引業法で定められています。隣の部屋と言うのは、壁一枚で距離にして10cmの可能性が大きい訳です。それで、自殺者が出たのは1か月前ですし、他の入居者の間でも大きな噂になっているので、告知義務が発生するのは当然の事です。ちなみに僕が霊感度、すなわち霊を近づけやすいレベルをチェックした所、「凡人」並みと言う結果で、まあ安全と言った所でした。以上です。

瓦版さんの意見:
取れません。見解については住田弁護士の見解が合理的だと思います。北村弁護士の見解についてはやや極論染みた見解ですが、こちらの見解もそれなりに合理的だと思います。北村弁護士の見解にもあったように本来、霊なんかいるわけないんですよ。まぁ、自殺者が出たということで気持ち悪いという相談者の気持ちは分からなくはないですが、自殺者が出たのは飽くまで相談者が借りた部屋の隣の部屋。もし、相談者がその自殺者が出た部屋を借りたというのであれば、検討の余地はありますが、そうでなければ、別にそんなに気にするような話ではないと考えていいと思います。まぁ、去年か一昨年の今頃にも似たような案件を扱いましたが、僕としては非常にくだらない話だとは思うので、あまりに神経質になるのは考え物だと思います。そんなことでピリピリしてしまうと、不動産屋の商売があがったりになりかねません。というわけで、住田弁護士の見解にもあるようにこれは一線を引くべき案件だと考えるべきです。

まにさんの意見:
「取れる。ただし引っ越し費用全額は無理」というのが自分の見解ですね。 今回はどちらの言い分も理解できるんですよね。 法的にも決まってないし、線引きが曖昧なものですからね。 このような場合に、「100か0か」という判決はないかな、と思います。 「引っ越し費用2~3割請求可能」ぐらいが妥当では?「女性Aが引っ越すとして」ですけどね。 ちなみに自分だったら、「隣りが空き部屋なら静かでいいかな」と思います。

 最近は近所付き合いが無くなっている事が嘆かれているが……。
 逆にこういうトラブルを避ける為にも、近所付き合いはなるべく少なくした方がいいかも。
 入居した住まいの前の入居者がどうなったか、なんて一々知らされたくないし。(^~^;)
 




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コメント 4

電車侍

これはもう、完全に告知義務が発生して当たり前です。今回は石渡・本村弁護士の考えが妥当で、北村・住田弁護士は不動産業の事を理解していませんね。この問題のポイントは、自殺者の部屋があるマンションに人が住みたいと思うかどうかです。確かに、人によっては「霊なんていない」「幽霊やお化け等非科学的」だと言う変わり者もいるでしょう。しかし、普通の人だったら「気味が悪い」「恐ろしい」「怖い」等と考えるのが当たり前です。自分は後者の見方をしますね。また、プロの不動産業者が入居者のサポートをする以上は、借りるのか、借りないのかを判断する為に、必要な情報は全て告知しなければなりません。これは宅地建物取引業法で定められています。隣の部屋と言うのは、壁一枚で距離にして10cmの可能性が大きい訳です。それで、自殺者が出たのは1か月前ですし、他の入居者の間でも大きな噂になっているので、告知義務が発生するのは当然の事です。ちなみに僕が霊感度、すなわち霊を近づけやすいレベルをチェックした所、「凡人」並みと言う結果で、まあ安全と言った所でした。以上です。
by 電車侍 (2010-08-10 12:27) 

瓦版

取れません。見解については住田弁護士の見解が合理的だと思います。北村弁護士の見解についてはやや極論染みた見解ですが、こちらの見解もそれなりに合理的だと思います。北村弁護士の見解にもあったように本来、霊なんかいるわけないんですよ。まぁ、自殺者が出たということで気持ち悪いという相談者の気持ちは分からなくはないですが、自殺者が出たのは飽くまで相談者が借りた部屋の隣の部屋。もし、相談者がその自殺者が出た部屋を借りたというのであれば、検討の余地はありますが、そうでなければ、別にそんなに気にするような話ではないと考えていいと思います。まぁ、去年か一昨年の今頃にも似たような案件を扱いましたが、僕としては非常にくだらない話だとは思うので、あまりに神経質になるのは考え物だと思います。そんなことでピリピリしてしまうと、不動産屋の商売があがったりになりかねません。というわけで、住田弁護士の見解にもあるようにこれは一線を引くべき案件だと考えるべきです。
by 瓦版 (2010-08-10 18:40) 

まに

「取れる。ただし引っ越し費用全額は無理」というのが自分の見解ですね。
今回はどちらの言い分も理解できるんですよね。
法的にも決まってないし、線引きが曖昧なものですからね。
このような場合に、「100か0か」という判決はないかな、と思います。
「引っ越し費用2~3割請求可能」ぐらいが妥当では?「女性Aが引っ越すとして」ですけどね。

ちなみに自分だったら、「隣りが空き部屋なら静かでいいかな」と思います。

by まに (2010-08-18 00:25) 

つるゆう

取れません。
まず自殺者が何人も出たとしても告知義務はありませんし、幽霊のせいには出来ません。というのは、幽霊は見える人には見えるが見えない人の方が多数派ですから、幽霊が存在するという科学的根拠はありませんし、裁判で争っても裁判は一般人の感覚で判断するので法律によって裁くには科学的根拠と客観性が必要だからです。例え幽霊のせいで自殺者が出たとしても、科学的根拠も客観性もないので幽霊と自殺との因果関係を証明する事は出来ません。もう自殺は本人の意思でやってしまったとしか言いようがない訳ですよ。これで告知義務を認めると「自殺者が出た。幽霊が居るから気をつけろ」と言わなければならなくなる訳ですが、これはもう主観によるもので、客観性のある話は出来なくなるから却って不動産屋の社会的信用が下がるんですね。
by つるゆう (2015-05-31 08:56) 

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