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行列のできる法律相談所:口止め料を返せ?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:口止め料を返せ?!

口止め料を返せ?!

 男性Aは会社員。
 1ヶ月前に結婚したばかり。愛妻の女性Bと幸せな家庭を築いていた。
 しかし、男性Aには結婚前から付き合っていた女性Cがいた。
 そんなある日、浮気の場面を、女性Bの親友女性Dに目撃されてしまう。
 男性Aは、何も言わないでくれと女性Dに頼み、口止め料5万円を押し付け、その場を去った。
 翌日。
 男性Aは妻から、浮気していたわね、と攻め立てられる。親友女性Dから聞いた、と。
 男性Aは平謝りし、この時ばかりはどうにか許してもらえたが……。
 女性Dに対し、怒り心頭。彼女の元に出向き、何故話した、と糾弾。女性Dは、親友に嘘はつけなかった、と言う。
 男性Aは、口止め料の返還を要求。
 しかし、女性Dは5万円は罰として貰う、と言い張る。
 男性Aは、口止め料として渡した5万円を返して貰えるのか?

判決」では、次の見解が:

北村弁護士の見解:取り返せない
もし5万円を貰う代わりに『私は喋りません』と、そういう合意が成立したのであれば取り返せます。だけどこの場合は考える時間も与えずに5万円を握らせている、で返事も聞かずに去っている、これはどういう事を意味しているかというと、返事をその場で詰めれば『そういう事なら5万円は受け取れません』という話になるのが怖いから去っている訳でしょう。一方的に5万円を贈与した、それ以上の合意は成立していないという風に見ざるを得ない
 本村弁護士の意見に対して:
全く話にならない。不法原因給付というのは、例えば裏口入学をさせる為にお金を貰って裏口入学をさせる、これは社会的に違法性の高い行為なんですね。この場合は不法のレベルが全く低い。不法とは全く言えない。公の社会的に違法というものではなくて、夫婦の間では『これは止めときましょうね』という2人の約束に過ぎないんです

住田弁護士の見解:取り返せない
合意を別の言葉で言うと契約なんですね。『浮気をばらさないで下さい』という申し込みを5万円でしたんです。それに対して承諾をしない限り契約・合意は成立しない訳で、今回の場合、彼女は『友達を裏切るなんて無理』と、全く承諾している様子が見えなかった訳ですので、契約は成立していない

 北村・住田弁護士の見解は、合理的。
 契約は、口頭もしくは文書による合意の元でなければ成立しない。
 今回、男性Aは口止め料を一方的に押し付けただけで、女性Dの返事を聞いていない。
 受け取った行為そのものを「相手の同意を得た」と見なすには、無理がある。行為自体を同意とするのは、どんな形態の契約でも違法だから。
 もしこれが合法な契約となってしまうと、客と定めた者に業者が商品を一方的に送り付け、「商品を受け取った時点で購入に同意したと見なす。代金を支払え」と請求するのも可能になってしまう(現実にそういう事をやる詐欺的商法があるらしい。こういう場合、『商品』を受け取った側は『商品』を保管するだけで良い。返還の義務もない)。
 そもそも、今回の「契約」は、口約束。
 口約束は、「言った」「言わない」の押し問答になり易い。男性Aが口止め料の返還を求めるなら、その前に口止めに関する事項を文書化し、女性Dに署名・捺印させた上で口止め料を支払うべきだった。
 それなら堂々と返還を請求出来る。
 無論、状況からして実現性に乏しいが。(^~^;)

本村弁護士の見解:取り返せない
今回の場合、契約は成立しています。何故ならお金を受け取ってその場で考えて貰ってますからね。口止め契約が一旦は結ばれた訳ですね。だからと言って『お金を返せ』とは後から言えない。何故かと言うと口止め料を渡して『喋るな』という契約は不法な原因の為に払ったお金、いわゆる不法原因給付に当たるという事になって、払ったお金を返還請求出来ないという事になる訳です
 北村弁護士の反論に対して:
浮気は法律で許されている行為ですか? 法律に背く行為ではないんですか? 浮気は不貞行為で離婚原因になるし慰謝料の発生原因になるでしょう

 本村弁護士の見解は、ある意味北村・住田弁護士の見解より説得力がある。
 北村・住田弁護士は、VTRの状況では合意は成立していない、という見解だが、本村弁護士は、仮に合意が成立していたとしても、法的拘束力を持たせる事は出来ない、という見解になっている。
 男性Aは、不倫という不法行為に対し口止め料を支払った。
 仮に女性Dが「絶対に喋らない」と明確に述べたとしても、不法行為に対するものである以上、法的拘束力のある契約にはなっていない。
 したがって、女性Dが約束を破っても、契約そのものが成立のしようがないのだから、男性Aは単に5万円を贈与しただけになる。後になって「約束違反したから返せ!」とは訴えられない。
 正直、何故北村・住田弁護士が、「裏口入学等と違い、浮気は不法行為の度が低い」と切り捨てたのか、よく分からない。
 浮気だって立派な不法行為。それが原因で離婚が起こり、慰謝料請求等が発生するのだ。(^~^;)

石渡弁護士の見解:取り返せる
これはまず契約が成立しているかどうかなんですけど、5万円の対価で『言わないでくれ』というのは明らかになってますよね。で、彼女は5万円で受け取っています。その場で嫌だったら、男性が受け取らなくても丸めて投げて返せるし、少なくとも喫茶店の段階でお金を返せるように用意をしておけばいい訳です。それを彼女は自分のものにしようとして使ってしまおうとしている、それはもう『浮気を言わないで暮れ』という申し込みに対する承諾に他ならないですね。仮に契約が成立していなかった場合、契約もないのに5万円を貰う必要がない訳ですから、それは不当利得として返さないといけない訳です

 石渡弁護士の見解には、無理な部分がある。
 女性Dは、法的には5万円を返還する義務はない。が、親友である女性Bに最初から告げ口するつもりだったなら、その場で突っ返す事も、後に返す事も可能だった筈。
 5万円を罰として貰う、と開き直るのは、人間性に問題がある。
 女性Dは、話し振りからすると、親友に夫の浮気については述べているが、口止め料を貰った事実は話していなさそうである。
 つまり、女性Dは自分にとって都合のいい部分を女性Bに話し、都合の悪い部分(口止め料を貰った)は話していないのだ。
 男性Aはかなりの悪人だが、女性Dはそれを上回る悪人と言える。
 こんな女に浮気場面を目撃されてしまったのが、男性Aの運の尽き。自業自得といえばそれまでだが。(^~^;)




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コメント 10

瓦版

この男は何を考えているんだか…。こんなもん、全然話にならないですね!これはもう問答無用で取り返せるわけがないですね。見解については本村弁護士の見解が最も合理的だと思います。今回の案件で一番悪いのは不倫なんかしていた男性Aです!本村弁護士や津村さんも御指摘の通り、不倫を妻Bの友人の女性Dに目撃されたのが今回の運の尽きであり、正に自業自得の典型例ですよ!不倫と言う不法行為が妻Bにバレるのを恐れて、男性Aは女性Dの口を噤んでやろうとしたわけですから、そういう男性Aと女性Dのどちらの行為が悪いかと言われたら、そりゃぁ、男性Aの方が格段に悪いですね。ただ、これも津村さんも御指摘の通りで口止め料を貰っておいて、男性Aが不倫した事実だけを伝え、口止め料を貰った事実を伝えなかった女性Dも可也の悪ですが、不倫と言う不法行為を辞めさせる為にしたことなのでこれは仕方ないことなのかなとは思います!まぁ、僕は下手に女性に恋心を出さずに独身でのびのびと過ごせる世の中に感謝していますね!
by 瓦版 (2010-07-19 12:40) 

瓦版

(うっかりして言い忘れたことがありましたので付け加えさせて下さい…!)これもやはり津村さんの御指摘通り、これはその場限りの口約束です!当然、法的拘束力があるとは到底考えられません。そこまでして、あの5万円を取り返したいのなら、男性Aはきちんと念書で以てその旨を文書化した上で、女性Dに押印・捺印させなければなりません。勿論、今回の場合はそういう手続きをとったとしても、取り返すのは可也難しい筈ですよね。また、女性Dについてですけれども、罰として口止め料を猫糞する振る舞いはある意味犯罪に極めて近い行為ですよね。まぁ、この女性Dの親にそういう間違った教育をされてきたことの表れでしょうね、こういう女性は本当に嫌ですね。
by 瓦版 (2010-07-19 13:00) 

まに

取り返せると思います。
「契約に至ってない」という見解は、北村・住田弁護士と同感です。
とはいえ、「契約に至らなかったら贈与とみなす」のは乱暴すぎると思います。

今回は、石渡弁護士と見解が一致しました。
契約に至ってるなら契約違反だし、至ってないなら不当利得。
いずれにせよ取り返せると思います。

しかしそもそも悪いのが男性Aですからね。離婚に至らなかっただけでもよしとすればいいものを…ちょっとセコすぎますね。
しかし罰を下すかどうかは、妻が決めるべきでしょう。女性Dではなく。

ところで津村さん、石渡弁護士の見解に対し「無理がある」と書いたのはなぜですか?
「女性Dは人間性に問題がある」というご意見に異論はありませんが、石渡弁護士は女性Dの人間性には触れてないはずですが…。そこだけちょっと気になったので…。

by まに (2010-07-19 22:13) 

電車侍

完全に取り返せます。これはもう、石渡弁護士の意見が妥当で、北村・住田・本村弁護士は論外です。5万円の対価で「浮気の事を他の人にばらさないでくれ」と言っている。となれば、これはもう契約が成立しているとしか考えられません。たとえ、それが口約束であろうが同じです。口約束は非常に大切な物であり、念書等が絡んで来る問題ではありませんから。それで、彼女はそれを5万円で受け取っています。その場で契約を成立させるのが嫌なら、男性が5万円を受け取らなくてもその場で返せますし、喫茶店のくだりで5万円を返せる様に準備をしておけば良い訳ですから。それを、女性Dは自分の物にして使おうとしている。これはもう、「浮気の事を他の人にばらさないでくれ」と言う申し込みへの承諾としか考えられませんよ。契約が成立していないのなら、契約も無しに5万円を貰う必要性が無い訳なので、これはもう不当利得として返さなければならない訳ですね、はい。僕もそろそろ彼女が欲しいですが、今回の女性Dの様な人には十分に気を付けて、幸せな生活を過ごして行きたい所です。以上です。
by 電車侍 (2010-07-20 13:23) 

月輪熊

今回の案件について、考えが纏まったので3年ぶり?にコメントさせてもらいます。

取り返すのは、ほぼ無理でしょう。
見解としては、北村・住田弁護士の意見が妥当と思います。

男性Aは女性Dに浮気を目撃された口止め料として
5万円を渡そうとしたが、女性Dは、はっきりと拒否の意思を示す。
それでも、男性Aは女性Dに口止めを依頼しながら5万円を渡し
女性Dの返事も聞かず、5万円を返す猶予も与えずにその場を去ってしまう。

この一連のやり取りで口止め契約が成立したとする事はできません。

では、男性Aに5万円を取り返す権利、又は女性Dが5万円を返す義務があるかと言えば
私はどちらも無いだろうと思います。

その根拠は、金銭のやり取りが2段階に分かれた事により
1段階目と2段階目では、男性Aが申し込んだ契約内容が変わってしまったと判断できるからです。

つまり
1段階目は、男性Aは口止め契約の締結を申し込んでいますが、これは契約不成立。
2段階目は、男性Aは5万円を押し付け、女性Dは数日後に5万円の受取を了承した為、贈与契約が成立した。
ということです。

ここで問題になるのは、男性Aが女性Dに5万円を押し付けるとき、口止めを依頼したという事実ですが
男性A、女性Dともに口止めに合意した確認せず、男性Aは口止めを条件として5万円を渡したわけではないので
男性Aの行為は、口止めの契約金支払いではなく、口止めを期待しての贈与と看做すしかありません。
口約束での贈与は、一旦金銭を渡して契約が成立しまうと取り消せないという法律の規定があるようなので
男性Aに返還を受ける権利はありません。

また、女性Dはお金を受け取る時に何の約束もしていませんので、男性Aの勝手な期待に応える義務はありませんから、
女性Dは5万円を返還する法的責任は無いでしょう。(くれると言うから貰っただけです。)

石渡弁護士の5万円を受け取るという事は口止め契約成立を認めたのだから、契約不履行で返還義務がある
という意見も一理ありますので100%取り返せないと言い切る事はできませんが
本村弁護士の不法原因給付に当たる為、返還請求権が無いと言う意見を使えば対抗できますし
やはり贈与と看做すしかないという意見に対するには弱いと思いますので
取り返すのは無理という見解の方になると思います。

ただ、女性Dは法的な義務は無くても、道義的には返すのが節度ある態度というのは皆さんと同意です。
by 月輪熊 (2010-07-24 05:43) 

NO NAME

3年ぶりとはお久しぶりです、月輪熊さん。まぁ、僕も大体月輪熊さんと同じ見解ですけれども、法律的には返す義務はないとは雖も、道徳的には返すべきでしょう。尤も、返すべき相手は男性Aでなくて妻Bだと思いますがね。
by NO NAME (2010-07-24 16:25) 

まに

月輪熊さん、メチャクチャお久しぶりです。
私の記憶では、確か露天風呂の案件以来でしょうか。
あの案件は、私が瓦版さんにお聞きしたかったことを月輪熊さんが代弁くださったので
あえて何も言わなかったのですが、結局そのままになってしまいましたね。

ちなみに上の「NONAME」は瓦版さんですね?すぐに分かってしまう…(^^;)

by まに (2010-07-27 02:39) 

瓦版

まにさん、お察しの通りです。僕もドジって名前を入力するのを忘れました。
by 瓦版 (2010-07-27 12:55) 

月輪熊

まにさん、覚えていていただけたとは恐縮です。
ご記憶の通り、露天風呂の案件以来です。
というより、あの時2回書き込んだだけですので、
正直どなたも覚えていないだろうと思っていましたので
まにさんの記憶力に驚きました。

瓦版さん、返信ありがとうございます。
基本ROM専でしたが、津村さんのブログは4,5年くらいは
読ませていただいていたので、文章で「NONAME」さんは
瓦版さんであろうと思っていましたが、万が一間違えてはと思いまして、
ご挨拶をせずにいました。
大変ご無礼をいたしまして申し訳ありませんでした。
お許しいただければ幸いです。

私は文章を書くのが苦手で(今回の見解コメントも長すぎたと
反省しています)、何度か意見を書き込もうと
していたのですが、うまく文章がまとまらないうちに
次の案件に話題が移っていき、書き込みのタイミングを逸してしまい
結局、すっかりご無沙汰することなってしまいました。

皆さんのように毎週とは行かないと思いますが、
私なりにコメントが纏まりましたら、書き込みをさせていただきますので
その時はよろしくお願いします。
by 月輪熊 (2010-07-27 21:18) 

瓦版

いやいや、そんなことはありませんよ、月輪熊さん。こちらこそ自分のとんだドジの所為で御迷惑や御心配を御掛けしてしまって申し訳ない所存です!
by 瓦版 (2010-07-28 20:40) 

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