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行列のできる法律相談所:留年した息子の学費を支払い続けなければならないのか?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:留年した息子の学費を支払い続けなければならないのか?!

留年した息子の学費を支払い続けなければならないのか?!

 男性Aは会社員。
 彼は別れた妻との間に息子がいた。
 離婚前の約束として、息子が大学を卒業するまで学費を払うことになっていた。
 そんな息子も、もう大学4年。学費の支払いもそろそろ終える筈だった。
 男性Aは、息子の顔を見たかったので、学費は手渡しにしていた。いつもは息子一人だけだったが、その時は別れて妻も一緒にいた。
 なぜだと不思議に思っていたら、息子が切り出す。
 大学の単位が足りなくて留年することになった。だから学費の支払いをもう一年続けてくれ、と。
 男性Aは拒否。留年したのはお前のせいなのだから、余分な1年分は支払えない、と。
 息子はこれに反発。卒業するまで支払うと約束したのだから、約束を守れ、と。
 男性Aは、留年した息子の学費を支払い続けなければならないのか?

判決」では、丸山弁護士以外が「払わない」の見解を出した。
 その結果、留年した息子の学費を支払い続けなければならない可能性は20%に。
 最終的には、「留年したのは自己責任。卒業したければ、自分で働いて稼がなければなりません」で締めくくられた。

北村弁護士の見解:払わない
確かに、離婚する時に大学卒業するまでと決めたんですね。その決めた事が留年するまでを想定していたかどうかの問題です。日本の大学は誰でも卒業できるシステムなんですよ。そういう中で卒業できなかったのは本人の責任ですね。卒業したければ自分で働けばいい、というだけの事です。(もし裁判になったら)モメるでしょうね。一般には『何歳になった年の3月まで』と限定するんですよ。ハッキリしますから

 北村弁護士の見解はそれなりに妥当。
 今回のケースでは、明らかに子に落ち度がある
 その落ち度の責任を父親に取ってもらおう、というのは虫が良過ぎる。
 ただ、

日本の大学は 誰でも卒業できる システム

 ……というのは、日本の大学に行ったことがない自分としては理解できないが。
 日本の大学、て結局何の為あるのか。

住田弁護士の見解:払わない
北村弁護士とは)ちょっと違うんですけど、養育費としては想定外の留年という事態があった時に、このお父さん側が子供が生まれてそちらの生活が大変だと、ようやく終わると思っていたら設計が狂ってしまった、そういう状況を考えた場合、この学生の落ち度はかなりありますから、自分でアルバイトしてでも卒業しなさいという形で落ち着く事になると思いますね

 この見解はおかしい。
 単に「今は別に子がいて、財政的に余裕がない」と言い訳するだけで養育費の支払い義務がなくなるとは思えない。
 今回のケースは子が成人していたからよかったが、子がまだ中学生や高校生だったらどうなっていただろうか。
 同じ養育費の支払いも、子が大学生になっている場合は免除され、それ以下だと免除されない、てことか?

橋下弁護士の見解:払わない
養育費っていうのは、原則は子供が20歳になるまでです。例外的に今回は大学卒業までという風になりましたので、子供の方も例外だと意識しなくてはいけないんですね。そもそもちゃんと勉強していないという自己責任で、自分で働いて卒業するしかありません

 橋下弁護士の見解も妥当。
 海外では18歳で成人する
 したがって、学費の支払いは高校までが一般的で、大学進学は子供本人が負担するのが当たり前(そもそもアメリカなどでは高校は無料だから、その意味では学費の支払いが生じない)。
 海外の者に「自分は22歳だが、親に学費を支払って貰っている」といったらびっくりされると思う。

丸山弁護士の見解:払う
全く逆なんですけど、大学卒業という場合1年ぐらい留年する事はよくあることですから、どうしても嫌なら『4年間』と限定すれば言い訳です。それもせず漠然と『大学卒業までは』となれば、卒業するまで多少の事があっても払ってやるという意志の方が強いんじゃないかと思うんです

 丸山弁護士の見解は、契約法としては非常にまとも。
卒業まで払う」と言ってしまった以上、留年したらその留年分の学費を支払うのが妥当
 国際的に弁護士として活躍する丸山弁護士らしい見解といえる。
 その一方で、単なる口頭契約で、「全ての事態を想定して発言しろ!」というのは無理な注文。
 今回のケースは、

約束の意図を 汲み取って判断

 ……するか、あるいは

約束を逐語的に なぞって判断

 ……するか、の問題。
 契約社会のアメリカは後者の見解がなされるのだろうが、日本では少なくとも口頭契約においては前者の見解が適用されると思う。

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コメント 2

つるゆう

これは払う必要ありません。
養育費は基本的に20歳までで、今回の場合は大学卒業までという約束でした。留年する人が居たとしても大体1割にも満たないですし、その人は極端にサボっていたか脱落したかです。留年となったら学費の増額がえげつなくなりますから辞めても良い訳です。よって、大学卒業までという約束の下で4年分しか出せないのは通常の必要な貯金の範囲内ですから、留年後の進路をどうしようとも自己責任です。
by つるゆう (2015-05-31 00:01) 

考えたい人

このトラブルですけど、残念ながら払わなければなりません。

もちろん、養育費は基本的には20歳まで、これは紛れもない事実です。しかし今回のケースでは、男性Aの方から「卒業するまで」とはっきり言ってるわけですよね。「卒業するまで」と言ったとしても、4年間ストレートで卒業できるかどうかは分からないじゃないですか。今回のケースの様にもしかしたら留年、などというトラブルが起きる場合もありうるわけですからね。そういう混乱を避けたいのであれば、丸山先生も言うように「4年間」と限定しておけばよかった、と言う事ですね。そうもせずに「卒業するまで」と言った以上は、契約法としては「多少の何かがあっても、卒業するまでは支払います」と発言した、とみなされても仕方のない話であって、それが契約法の原則でもある、と言う事ですね。
以上が自分の見解です。
by 考えたい人 (2016-06-24 19:05) 

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