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行列のできる法律相談所:遺族年金は誰が受け取るのか?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:遺族年金は誰が受け取るのか?!

遺族年金は誰が受け取るのか?!

 女性Aは、内縁関係にあった夫を亡くし、悲しみにくれていた。
 そんな葬式会場に、正妻が姿を現す。
 正妻は、遺族年金を貰いに来た、と宣言。
 女性Aはびっくり。自分だけが遺族年金を受け取れると思っていたからだ。
 10年前、女性Aは夫と夫婦関係になった。しかし、正妻が離婚を承諾しなかった為、女性Aと夫は内縁関係にならざるを得なかったのである。
 内縁関係になってからは、夫は正妻とは会っていなかった。
 女性Aは猛反発。
 正妻は、夫が不治の病で入院していた最中も全く姿を現さなかったのだ。貰う権利などある訳ない、と。
 が、正妻は言う。
 年金は正妻が受け取れるよう、法律上決まっているのだから、内縁関係に留まっている女性Aは貰う権利はない、と。
 遺族年金は内縁の妻に行くのか、それとも10年間も会っていなかった正妻に行くのか?

判決」では、本村弁護士以外が「内縁の妻」の見解を出した。
 その結果、遺族年金が内縁の妻に行く可能性は70%に。
 最終的には、「遺族年金に関する法律は夫婦としての実態を重視する為、今回の場合、内縁の妻の方が受け取れる確率が高いようです」で締めくくられた。

北村弁護士の見解:内縁の妻
これは内縁の妻です。法律に『配偶者とは戸籍の届け出はしていないけれども、夫婦と同様の関係にあった人も含む』と書いてあります。だから、内縁の妻も戸籍上の妻も、フィフティフィフティです。ただですね、最高裁の判例がありまして、夫婦としての実態がどちらによりあったのか、正確に検討して、正妻の方に夫婦としての実態があまりなくて、形式上のものであったと言える場合、内縁の妻だけにする

住田弁護士の見解:内縁の妻
法律の条文で『事実上の妻を認める』としている訳なんですが、その法律の気持ちというのは共同生活の中で、夫婦一緒に保険料を払い込んでいく訳ですね。ですから、亡くなった後には、遺族にその生活を保障しようという考え方なんです

 北村・住田弁護士の見解は尤もらしいといえば尤もらしい。
 夫婦生活の実態がないのに、法的には夫婦だからということで、年金が正妻の方へ行き、法的には夫婦ではなかったものの実質的には夫婦だった内縁の妻に年金が1円も入らない、というのはおかしい。
 その一方で、実態がないといっても、離婚は成立していないのだから、「正妻は既に妻ではない」と切り捨てていいのか、疑問に思う。
 もしそうだとすると、不倫相手に夫を奪われてしまった妻は、抵抗する術を全て失ってしまう
不倫し、それを継続すれば、最終的には不倫相手は正妻に勝てる」ということになるのだ。
 それはおかしいだろう。

石渡弁護士の見解:内縁の妻
裁判所は具体的に夫婦の実態というものを見ていきまして、今回のケースでは、看病もしていない、一緒に暮らしていない期間が10年もある。お葬式を内縁の妻側が主催している。こういう事を具体的に考えると内縁の妻の方が、婚姻関係の実態があったと見なされると思います

 石渡弁護士の見解は、より具体的で納得できる。
 正妻を名乗るなら、夫が病に倒れた時点で看病は無理でも(内縁の妻と鉢合わせになるのは嫌だろう)、見舞いくらい行けただろう。
 VTRを観る限り、見舞いに行った様子もない。
 となると、いくら法的には婚姻関係が続いているとはいえ、「婚姻関係は事実上終わっていた。正妻は単に金をせびる為に姿を現しただけ」と見なされても仕方ない。

本村弁護士の見解:正妻
内縁の妻には2種類ある。1つは偶々籍が入っていないだけで、籍を入れようと思えばいつでも入れられる、実態は完全な夫婦。これが本来の内縁の妻なんですよ。もう1つは籍を入れたくても入れられない。なぜなら戸籍上の妻が既にいるという場合。ケースにもよるが、法的保護に値しないケースがあります。そうでしょう、元々は単なる不倫ですから。不倫相手の女性がのさばって、戸籍上の妻を追い出して、いつの間にか自分が妻の座に納まってしまった。戸籍上の妻から慰謝料を請求されたら、払わなくてはいけない、そういう立場ですよ。遺産を相続できないのはもちろん、遺族年金をもらうのも正義に反します

 本村弁護士の見解は、非常に納得がいくもの。
 VTRでは、内縁の妻が良く描かれ、正妻が悪女のように描かれていたが……。
 正妻からすれば、内縁の妻こそ悪女そのものだろう。
 妻がいると知りながら男と付き合い、妻に離婚を迫り、妻が離婚に応じないと知ると男に家庭を捨てさせ、自分と暮らすよう生活する……。
 これが悪女でなくて、何か。
 正妻からすれば、夫を奪われ、夫の年金も奪われることになる。
 正妻で、法的には保護される立場である筈なのに、不法行為を犯した内縁の妻の方が法的に保護される
 まさに踏んだり蹴ったりではないか。

 正妻の行動として解せないのは、なぜさっさと離婚に応じなかったのか、ということ。
 最初は夫や不倫相手に対する抵抗のつもりだったのかも知れないが、何年も経てば、夫婦関係の修復は不可能だと分かる筈。
 それだったら離婚に応じ、本村弁護士も触れていたように元夫や不倫相手から慰謝料をがっぽり貰う方が経済的に確実だろう。

 女性Aと亡くなった夫の対応も理解できない。
 いくら正妻が離婚届の署名に拒否したからといって、10年間も内縁関係が続いていれば、元の結婚は事実上破綻しているとして、離婚を強制的に成立させる手段もあっただろう。
 実際、別居が5年続くと、裁判所に申し立てれば離婚は成立するようだし。

 今回のケースは、上述したようにVTRを観た範囲では正妻が悪者扱いされているが、よく考えてみると女性Aも充分以上に悪者。
判決」が3対1になってしまうのはおかしいのではないか。
 今回の夫は最初の10年間を正妻と一緒に暮らし、最後の10年間を内縁の妻と一緒に暮らしていた。
 正妻との関係は最終的には破綻したが、それでも10年も共に生活していた。
 一方、内縁の妻との関係は内縁関係に留まったが、夫は内縁の妻に看取られて亡くなった。
 そう考えてみると、双方に貰う権利がある、と判断しても良さそうだが。

瓦版さんの意見:
遺族年金を貰う権利があるのは当然正妻に決まっています、女性Aには鐚一文たりとも入りません。見解も本村弁護士の見解のみが合理的で、他の3人はこの女性Aが亡くなった男性との関係は不倫により成り立っていることを全然分かっていません。この女性Aは亡くなった男性とは内縁の妻だと勝手に思いこんでいるようですが(番組上かもしれませんが)、正妻が離婚届を出すのを拒否している以上、この女性Aはただの不倫相手で10年間も不倫し続けてきたと言うことになります。言うまでもなく、この女性Aと亡くなった男性との間に内縁関係があっただなんて到底認められるわけありません。この女性Aはこの男性が死ぬまで不治の病の看護をしていたとか葬式費用もこの女性Aが出したとか正妻は亡くなった男性と10年間一度も一緒に生活していないだとかと女性Aはガタガタと小言をほざいていますけれども、そんなことなど一切無関係です。この関係は不倫によるものなので、法的に女性Aの行為が保護されるべき理由なんかどこにもないわけなんですね。津村さんも指摘されている通り、番組上では正妻を悪女のように扱っていましたが、そう考えるのは完全に筋違いであって、女性Aの方がよっぽど悪女なわけなんですね。遺族年金を貰えるどころか逆にこの女性Aは正妻に対して、慰謝料を払う義務すらあります。それでいて、この女性Aは10年間不倫し続けてきたにも拘らず、不倫相手の分際で遺族年金を寄越せなど非常に厚かましい話なわけで、僕がもし、あの正妻なら、あの女性Aを打ん殴ってやったと思いますね。僕が思うに、この正妻はこの女性Aが「私は亡くなった男性の不治の病に臨終まで付き添ったんだ。」とか、「あんたは10年間夫と一緒に生活しなかったではないか。」とか、「葬儀費用も全額私が出したんだ。」とかとほざいてきても、毅然とした態度で女性Aの話には耳を傾けず、遺産は固より遺族年金も根刮ぎ貰ってやればいいと思いますね!よって、本件の場合、遺族年金の相続権は正妻にあると僕は考えますね。

 不倫は、やる方が勿論一番悪いが、現実には不倫されてしまう方も何らかの落ち度があると思う。
 したがって、今回の場合、夫だけを責めるのは間違いだろう。正妻にも不倫されるほどの問題があったと思われる。
 また、大抵の場合、不倫が発覚したら、夫は不倫相手と別れ、妻とよりを戻そうとする。
 しかし、今回の夫は不倫相手から手を切るどころか、妻に離婚を迫った。
 夫はかなりの妻に不満を持っていたことになる。
 結局、夫は死ぬまで不倫相手と付き添い、正妻の下に戻ることはなかった。
 不倫相手も相当な悪女だが、正妻だってかなりの悪女のような。
 したがって、今回のケースは個人的にはどちらの側にも付きたいと思わない……。(^~^;)
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瓦版

遺族年金を貰う権利があるのは当然正妻に決まっています、女性Aには鐚一文たりとも入りません。見解も本村弁護士の見解のみが合理的で、他の3人はこの女性Aが亡くなった男性との関係は不倫により成り立っていることを全然分かっていません。この女性Aは亡くなった男性とは内縁の妻だと勝手に思いこんでいるようですが(番組上かもしれませんが)、正妻が離婚届を出すのを拒否している以上、この女性Aはただの不倫相手で10年間も不倫し続けてきたと言うことになります。言うまでもなく、この女性Aと亡くなった男性との間に内縁関係があっただなんて到底認められるわけありません。この女性Aはこの男性が死ぬまで不治の病の看護をしていたとか葬式費用もこの女性Aが出したとか正妻は亡くなった男性と10年間一度も一緒に生活していないだとかと女性Aはガタガタと小言をほざいていますけれども、そんなことなど一切無関係です。この関係は不倫によるものなので、法的に女性Aの行為が保護されるべき理由なんかどこにもないわけなんですね。津村さんも指摘されている通り、番組上では正妻を悪女のように扱っていましたが、そう考えるのは完全に筋違いであって、女性Aの方がよっぽど悪女なわけなんですね。遺族年金を貰えるどころか逆にこの女性Aは正妻に対して、慰謝料を払う義務すらあります。それでいて、この女性Aは10年間不倫し続けてきたにも拘らず、不倫相手の分際で遺族年金を寄越せなど非常に厚かましい話なわけで、僕がもし、あの正妻なら、あの女性Aを打ん殴ってやったと思いますね。僕が思うに、この正妻はこの女性Aが「私は亡くなった男性の不治の病に臨終まで付き添ったんだ。」とか、「あんたは10年間夫と一緒に生活しなかったではないか。」とか、「葬儀費用も全額私が出したんだ。」とかとほざいてきても、毅然とした態度で女性Aの話には耳を傾けず、遺産は固より遺族年金も根刮ぎ貰ってやればいいと思いますね!よって、本件の場合、遺族年金の相続権は正妻にあると僕は考えますね。
by 瓦版 (2009-05-11 18:45) 

まに

自分は、「夫婦としての実体がどちらにあったか?」を、評価すべきだと思います。
「過去の10年」と、「今の10年」とでは、「重み」が違います。
「もともと不倫」とはいえ、10年も経てば、内縁の妻が、正妻に勝ってもいいのではないでしょうか?
まったく疎遠になっていたわけですからね。
よって、内縁の妻に味方したいところですが…瓦版さんとは、意見が対立してしまいましたね。

それにしても、確かにVTRでは正妻を悪女のように描いてましたね。
登場して最初のセリフが、「このドロボー猫!」ですもんね。

by まに (2009-05-20 22:48) 

瓦版

いくら馬が合う人でも時には見解が対立することがあるのは当たり前です。何もそんなに気にすることではないんですよ。あまり深いことは考えない方が賢明です。あれは飽くまで僕の個人的な考えで大きな意味はないです。
by 瓦版 (2009-05-21 23:26) 

枯山孝

非常に不本意でありますが…。
『内縁の妻』の見解を挙げた北村弁護士のみを支持いたします。

心情的には本村弁護士・瓦版さんと同じく正妻側を支持したかったです。
津村さんのご指摘通り、最初に不倫と言う不法行為を犯したのは
内縁の妻の方である以上、法がそちらを保護するのはいかがなものかと。
ましてや十年間夫婦の実体が無かったのも、看病もしていないのも、
元はと言えば全て内縁の妻の仕業によって、
正妻の夫婦仲を破壊された結果なんですね。
なので、本当なら私もこんな図々しい女性Aに渡す金は一銭も無い!と
一喝してやりたいところなのですが……

北村弁護士が、夫婦としての実態がどちらによりあったのか
正確に検討すると言う「最高裁の判例」を挙げられた以上は、
残念ながら内縁の妻側に軍配を上げるしかありません。
やはり最高裁の判例と言うのは日本国における法律論争での
最大の武器ですので…
(事実この番組でも北村弁護士・住田弁護士辺りが最高裁の判例を
出してきた時は、番組の最終結論でも大きく勝利する確率が非常に高い)

非常に不本意でありますが、内縁の妻が受け取るべきと言う
結論を出さざるを得ませんでした。


…やはり津村さんのご指摘通り、
この一件は(夫・正妻・内縁の妻)三人とも対応を間違ってしまった結果の
トラブルだったと思います。
正妻は自分への愛がもうない時点で諦めて離婚に応じて、
元夫から財産分与を行った上で、元夫と内縁の妻の両者から
慰謝料を要求するべきでしたし、
夫と内縁の妻は5年ぐらいで弁護士を呼んで離婚に持ち込むべきでした。
by 枯山孝 (2009-05-30 00:17) 

つるゆう

結論は「内縁の妻」です。
内縁関係は婚姻に準ずる関係として扱われ、法律的に婚姻に準じた保護を受けることができることは既に良く知られております。したがって、内縁関係が破綻したときは離婚に準じて慰謝料や財産分与が認められるわけです。そして遺族年金についても内縁の妻に受給の資格があるとされていました。 しかし、法律上の妻が存在する場合は、遺族年金の受給権者は法律上の妻であり、内縁の妻にはないとされていましたが、平成17年4月21日、最高裁判所第一小法廷判決は、正妻がいる場合にもかかわらず内縁の妻に受給権を認めたということです。
このような最高裁判例の考えとしては以下の通りです。内縁関係は戸籍上の夫婦ではありませんが実質的には夫婦としての実態があるために法律上で保護されるので内縁の妻にも何らかの権利を保障しようという事です。結局、正妻と内縁の妻は50/50ですから、正妻は戸籍上の妻ですから生活費も遺産も離婚の慰謝料も全て取れるのに対して内縁の妻にも遺族年金位は渡してあげましょう、という事です。こうして公平を保たざるを得ないという事になります。

by つるゆう (2015-06-06 13:02) 

サミダレーノ

本村弁護士の見解も理解も納得いくっちゃいきますが、今回の場合内縁の妻ですね。
結論から言うと、正妻の行なっていることは権利の濫用ではないかと思います。
もし、今回の場合正妻に遺族年金が行き渡る事になれば、「破綻状態であっても離婚していなければいかなるケースでも遺産を受け取れる」という事になります。
10年も別居していれば、十分破綻状態としても認められるし、そもそも男性側も正妻と別れる事を望んでいる事から、今回の場合は内縁の妻の方に遺族年金が行き渡るという事になります。
by サミダレーノ (2018-07-03 07:43) 

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