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行列のできる法律相談所:子沢山だから慰謝料増額?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:子沢山だから慰謝料増額?!

子沢山だから慰謝料増額?!

 女性Aは主婦。
 彼女の家には5人の子供がいた。
 夫も子供好きとあって、幸せな生活を送っていたのだが……。
 ある日。
 女性Aは離婚届を夫に突き付ける。
 夫は3年間も不倫していたのだった。
 女性Aは、子供を全員引き取る事に。
 その上で慰謝料と養育費を請求。
 不倫を完全に認めていた夫は、その支払いに応じる事に。
 慰謝料300万円を支払う、と夫は提示。結婚10年、年収400万円としては妥当な額だった。
 しかし、女性Aは納得しない。
 子供が5人もいた為、家事は大変だった、しかも夫は全く家事を手伝わなかった。したがって、増額すべきだ、と。
 夫は反論。
 女性Aは専業主婦だったのだから、家事をするのは当然。子供が多いくらいでは増額の根拠にはならない筈、と。
 子供の数が多いと離婚の際慰謝料は増額になるのか?

判決」では、北村・橋下弁護士が「増額できない」、住田・本村弁護士が「増額できる」の見解を出した。
 その結果、子供の数が多いと離婚の際慰謝料は増額になるになる可能性は40%に。
 最終的には、「あくまでも浮気での離婚に対する慰謝料、増額は難しいでしょう」で締めくくられた。

北村弁護士の見解:増額できない
浮気をされて辛い思いをして、離婚せざるを得なくなった。この辛い思いに対して慰謝料を払う訳です。これと子育ての大変さは全く無関係なので、慰謝料とは関係ありません

 北村弁護士の見解は納得がいく。
 今回の慰謝料は、不倫によって結婚生活が破綻したことに対するもの
 結婚中の子育ての大変さは関係ない。
 子育てが大変だ、というのなら子供を全員引き取るなどしなければいいのだし、あるいは養育費の増額を求めるなどすればいいだろう。

橋下弁護士の見解:増額できない
離婚に伴う慰謝料は離婚そのものに対する悲しみですから、それ以前の子育ての大変さなどは考慮に入りません。子供が多くて楽しく感じる事も多いので、トータルで考えるとプラスマイナスゼロで、その分をあえて増額や減額をするという話ではないです
 本村弁護士の見解に対して:
子育てがしんどいというのは現実そうなんでしょうけど、多くの子供を育てようと思えば、自分の小遣いを減らしたり、色々そういう努力が必要なんじゃないでしょうか。だからそれは、プラスマイナスゼロです

 橋下弁護士の見解は、自身が大所帯を持っている者として説得力がある。
 結婚中は「子供が多いと苦労も多いけど楽しい」と言っておきながら、離婚が決まった時点で「子供が多いとただただ苦労する」と態度を豹変するのはわがまま。
 離婚に伴う慰謝料は離婚そのものに対する悲しみだから、それ以前の子育ての大変さなどは考慮しない、というのは当然のこと。

住田弁護士の見解:増額できる
今の時代は、昔に比べて子供を育てるのはとても大変なんですね。今回の場合、全然家事・育児に対して協力してもらってないですよね。そうしますと、現実の生活というのは自由時間はほとんどなく、実を言うと睡眠時間を削っている事が大いにあるわけです。その苦労に対してねぎらうのが、慰謝料の主旨にピッタリ合うんです。ですから、慰謝料を増額すべきだと思います
 橋下弁護士の見解に対して:
彼の場合は特に浮気してましたし、おそらく橋下先生ほど稼ぎはよくなかったみたいだし、奥さんはそれ以上に子育てに苦労した訳で、ちゃんとそこは評価すべきだと思います

 住田弁護士の見解は、全体的に説得力に欠ける。
今の時代は、昔に比べて子供を育てるのはとても大変」と言っているが、それだと「昔は子供を育てるのは楽だったというのか?」ということになってしまう。
 子育ては、時代に関係なく大変だろう
 家事・育児に協力してもらわなかった、睡眠時間を削っていた、という事態は別に今の時代だけではない。昔もそうだっただろう。
 なぜ昔は重要視せず、今になってから重要視するのか。
 女性Aの子育てにおける奮闘振りは評価に値すると思われるが、それが慰謝料増額に値するのかどうかは疑問。

本村弁護士の見解:増額できる
離婚の慰謝料は、普通の慰謝料と法的に性質が違うんですね。つまり、結婚してから離婚までの年数や今の妻の年齢・子供の数、これらは全て離婚の重さをはかる大事な要素になるんです

 本村弁護士の見解も説得力に欠ける。
離婚の慰謝料は普通の慰謝料と性質が違う」となったら、離婚の慰謝料は通常では有り得ない、つまらないことも考慮せざるを得なくなり、拡大解釈され、慰謝料の増額に歯止めがかからなくなる
 また、「普通の慰謝料」で訴訟している者からすれば、「なぜ離婚の慰謝料だけ特別視されるんだ?」ということになるだろう。
 離婚だからといって特別視する根拠はない。

 女性Aの最大の失敗は、「5人も子育てして大変だったから」という理由だけで慰謝料の増額を求めたこと。
 女性Aの言い分がそのまま認められたら、「1人の子育ては確実に5人の子育てより簡単」ということになる。これは5人以下の子育てに奮闘している母親を侮辱していることにならないか?
 女性Aは専業主婦。5人の子供がいたら専業主婦にならざるを得ないのかも知れない。
 が、子供が1人だったとしても、子育てしながら働いていたら、苦労は女性A並みになるだろう。むしろそういう母親からすれば、「専業主婦なんだから子供の面倒くらい充分見れるんじゃない?」とならないか?
 女性Aの「あたしは他の母親より苦労しているのよ!」といった態度が敗因ではないか。

瓦版さんの意見:
これで慰謝料増額はとんでもない話ですね。あくまでも離婚の際に慰謝料を払うべき事項は夫か妻の不倫が主な原因で、他にあるとしても正当な理由もなく夫か妻の何れかが離婚を切り出して、実際に離婚に至ったという場合ぐらいなもんです。今回の場合も、夫が妻に対して慰謝料を払うべき要因は夫の不倫行為。それ以外のことまでも考慮してしまうと際限がなくなってしまいます。住田・本村弁護士は相変わらず慰謝料を不当に増額することを肯定する見解を出していますが、僕としてはあまり感心できません。それとこの女性Aは5人も子供の世話を見るのは大変だと言っていますが、それが嫌なら夫が子供を引き取ればいいんじゃないのとさえ思えます。まぁ、子供の立場からすれば、不倫をするようなお父さんの顔などもう二度と見たくないという可能性は勿論、否定することは出来ませんが。だけれども津村さん、嫌ですよね、こういう身勝手な女性は。

 不倫された妻からすれば「こっちは離婚したくなかったのに離婚せざるを得ない状況に追い込まれたのだから、これくらい認められて当然!」という理屈なのかも知れない。(^~^;)

まにさんの意見:
私も、「慰謝料増額できない」という見解です。 見解、なんですが、みなさん、 「家事を手伝えば離婚の慰謝料は減額?!」の 案件をお忘れではありませんか? 本件は、苦労したのが夫か妻かの違いで、 以前の案件とほぼ同じケースです。 以前の案件では私も思いつかなかったのですが、 本件の場合は、慰謝料増額ではなく、 財産分与で主張すべきではないでしょうか? 財産分与であれば増額を認められると思います。 (以前の案件ですでにcomettさんが財産分与での 解決を提案なさってましたね) しかし、財産分与と言うのもなんですかねぇ。 「夫婦で半々ずつ」というのが一般的(?)なようですが、 今回のような子だくさん家族や共働きの場合はともかく、 普通は、外で働く夫より、妻の方が楽をしてますから、 それを半々ずつというのもどうなんでしょうね。 今回、子だくさんを理由に妻の財産分与の取り分が多くなるのであれば、 逆に夫の仕事がものすごくハードである場合は、 夫の取り分が多くならなくてはならないはずです。 実際のところ、その辺ってどうなってるんでしょう? そもそも、今回のような子だくさん家族の場合は、 できれば離婚しない方が、夫婦のためでも 子供のためでもあると思うのですが。 女性Aは、ひとりで育てていくのは大変ですよ、これから。

 確かに、今回のケースでは、離婚しても妻は5人の子供を抱え、苦労するだろうし、夫も養育費に四苦八苦するだろう。
 妻にとっては不本意だが、ここはぐっと堪えて結婚生活を続けるのが最善策かも。
 といって、これで夫が懲りて不倫を二度とやらない、て保証はない。今離婚するのが得策、という考え方もできる。
 一番悪いのは不倫した夫だよね。(^~^;)

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コメント 2

つるゆう

慰謝料増額できません。
大体不倫によって家庭が破綻したのですから、それと子供を育てる大変さは全く別物です。しかも子沢山によって実害が生じた訳ではありませんから、離婚原因と無関係で実害がないのに一々慰謝料の増額を認めてたら、「たったこれだけでも慰謝料増額か」っていう話になり、慰謝料の金額が無意味にどんどん上がっていくだけなので、この程度の事情を法律問題として取り上げたらキリがない訳ですよ。
by つるゆう (2015-05-16 21:40) 

サミダレーノ

わずかながらでも増額はすべきでしょう。
そもそも家事も仕事として認められる訳ですし、今後女手一つで5人もの子供を育てるとなると相当大変ですし、覚悟もかなりあります。
また今回の離婚は完全に夫に責任ありますし、その夫も妻に非協力的であることから、妻のこれまでの家事・育児の労いという意味あいで増額を認めてあげてもいいのではないかと思いますね。
by サミダレーノ (2018-11-26 22:19) 

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