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行列のできる法律相談所:離婚の慰謝料の相場は不況で下がる?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:離婚の慰謝料の相場は不況で下がる?!

離婚の慰謝料の相場は不況で下がる?!

 女性Aは主婦。
 男性Bと結婚5年目で離婚することに。
 女性Aは言う。離婚の原因は男性Bなのだから、慰謝料を払ってくれ、と。
 今回の離婚の原因は男性Bの不倫。それが妻にばれてしまった。それは疑いようのない事実なので、男性Bは慰謝料支払いには反対しなかった。
 女性Aは、結婚年数などから、慰謝料は200万円が妥当と算出。これを請求することに。
 しかし、男性Bは言う。今は不況で、慰謝料の相場も下がっている筈。また、給料も下がっていて、金に困っているのは知っているだろう、と。
 だから下げるべきだ、と男性Bは主張。
 女性Aは拒否。慰謝料の相場は収入減や不況に左右されない、と。
 離婚の慰謝料の相場は不況で下がるのか?

判決」では、北村・住田弁護士が「減額されない」、菊池・本村弁護士が「減額される」の見解を出した。
 その結果、離婚の慰謝料の相場は不況で下がる可能性は40%に。
 最終的には、「慰謝料というのは心の傷に対して埋め合わせをするもので、一時的な不況が金額に反映することはないようです」で締めくくられた。

北村弁護士の見解:減額されない
この程度では減額されません。例えば200万円払って簡単にOKしてくれるのであれば、『いくら浮気してもいい』と紳助さんのように思うかも知れないと。物凄い大金持ちの人にとっては簡単な事で良くないでしょ? だから極端な場合は考慮しなければいけない。ただ本件の場合は一時的な不況なんですね

住田弁護士の見解:減額されない
慰謝料というのは、心の傷に対してそれを埋め合わせしようとするもので、離婚に対してはやはり心の傷は大きいですから、その傷に対しては埋め合わせが必要。もう一つは離婚の場合妻の地位を奪う、そういう今までの安定的な地位から変わりますから、それに対しても埋め合わせをしようと。そうすると昨日・今日の話ではなくこれまでの夫婦関係の共同生活の中で生まれてきたものですから、一時的な不況を慰謝料の金額に反映させるのはおかしい
 本村弁護士の見解に対して:
何年も夫婦関係として続いてきた年数があります。それが大事な事だと言うのだったら、今の一時点だけ下がった事を入れるのは大きな目から見たらたった一点の事しか考えてない。入れるとしたら中の要素としてはまだまだ小さいです

 北村・住田弁護士の見解は、大体理解できるが……。
 ただ、北村・住田弁護士はあくまでも弁護士であり、経済学者ではない。
 今回の不況が一時的だとどうして分かるのか。
 不況が底を打ったとしても、そこから上昇するという保障はどこにもない。
 もしかしたら今回の不況は何十年と続くかも知れないのだ。
 そうなったら北村・住田弁護士が予想しているような給料の上昇はないし、慰謝料の支払能力の上昇もない。

菊池弁護士の見解:減額される
妻の座というものを失う、妻の座というのはその年収の夫の妻の座ですから、年収が下がってしまった夫の妻の座を失うことに関しては、当然慰謝料の額が若干低くなる。年収が上がっている場合は、逆に反映されるべきだと思います

 菊池弁護士の見解は合理的。
 夫の収入が下がっている以上、慰謝料の支払能力も下がっている。
 収入が上昇している場合は慰謝料は容赦なく上がっていくのに、逆に収入が下降している場合は慰謝料に全く反映されない、というのはおかしい。
 離婚の慰謝料は、時によっては得することもあるのだから、時によっては損することも当然ながらなければならない。

本村弁護士の見解:減額される
離婚の慰謝料というのは、普通の慰謝料とは法的性質が違います。慰謝料を算定するに当たっては様々な要素、つまり結婚してからの年数の長さ、夫婦の現在の年齢・子供の有無・夫の収入・資産など、を考慮に入れて算定しないといけない。夫の収入がいくらかという事は慰謝料を算定する需要な要素の一つになります。

 本村弁護士の見解も合理的。
 離婚の慰謝料は、慰謝料を支払う側の支払い能力を最大限考慮しなければならない。
 いくら相場がそうだからといって、ない袖は振れない。

 収入減が慰謝料の額に反映されるべき、というのは理解できるが……。
 果たして男性Bにそれが該当するか、というとちょっと疑問。
 男性Bの主張の問題点は、離婚の原因(不倫)が完全に彼にあること。
 彼がいくら財政難に陥っていようと、今回のトラブルは彼に原因があるので、慰謝料の減額を要求したところで、説得力に欠ける。
 実際には女性Aが妻としての勤めを全く果たしておらず、それが原因で男性Bが不倫に走ってしまった可能性もなくもない。が、VTRではその点は明らかにされていないので、不倫は男性Bに完全に非がある、と仮定しなければならないのである。

 今回のトラブルだが……。
 一番気になるのは、「判決」より、メディア業界と一般社会との金銭感覚の差。
 VTRのカップルは、一般的なサラリーマンの生活をまるで反映していない。
 男性Bの収入は元は800万円だったが、それが不況で30%減の560万円になってしまった、物凄い収入減だ、と番組は主張していたようだが……。
 今の時代、560万円でもかなりの高収入だろう。
 男性Bの「今は不況で、給料も減っているから、慰謝料は支払えない」という発言は、言い訳になっていない。
 したがって、トラブル自体が成立していないのである。
 こういうのを観るだけで、テレビ局の常識は世間の常識から完全に逸脱しているのが分かる。

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コメント 7

瓦版

これは当然減額できますね。見解についても、津村さんと同様、菊地・本村弁護士の見解が合理的だと思います。北村・住田弁護士は判定こそ逆なものの見解自体は粗納得出来ますが、「臨機応変」という言葉を知らないとしか評価しようにないです。本来、この男性Bは年収800万円でしたが、この不況の所為で30%も年収が減ったとなれば、この夫婦の生活水準もかなり落ちることは言うまでもないでしょう。となれば、本村弁護士が仰っているように当然の事ながら慰謝料の額にその点を考慮する必要があります。同じく本村弁護士が仰るように本件のような慰謝料は普通の慰謝料(例は良く分かりませんが、恐らく、本村弁護士の仰っている普通の慰謝料と言うのは主に猥褻行為の被害を被り、その被害者が精神的ダメージを受けたことにより、得られると思われる慰謝料の類のことかと思われますがね。)とは法的性質が全然違いますから、当然注意する必要があります。やはり、本件において離婚の直接の原因は男性Bの不倫行為です。こういった場合、慰謝料の妥当なラインが200万円であれば、30%減の収入のことも考慮すれば140万円前後ぐらいが妥当なラインで、大目に見ても150万円が限度ですね。言うまでもなく、本件において、一番悪いのは不倫をした男性Bに決まっていますが、津村さんも仰るようにその原因はVTRからは全く把握不能で、ひょっとすると、その原因は妻側にある可能性も否定できません。もし、本件の男性Bの不倫の原因が妻によるものだとすれば、100万円ぐらいにまで減額できるでしょうし、程度によっては50万円以下も大いにありえると思います。勿論、菊地弁護士も仰っているように逆に好景気で男性Bは金が有り余るほどあって、この男性Bが億万長者であるということであれば、慰謝料の増額を考えても悪くはないんじゃないかと思います。また、北村・住田弁護士の「一時的な不況」発言は暴論。何時景気が回復するかだなんて誰一人として分かるようなものではないもの。また、住田弁護士の見解は女尊男卑の態度が見え見えです(まぁ、そんな僕もそんなに人の事を言えた義理ではないかもしれませんが(笑)…。何だかんだ言っておいて僕は逆に男尊女卑の傾向が強いものですから。)。またしても、僕の見解は男性贔屓の見解になってしまいましたけれども以上が僕の見解です。
by 瓦版 (2009-04-20 17:55) 

tsumutak

瓦版さん、コメントありがとうございます。
今回の件は、自分的にはどちらが妥当か判断しかねますね。(^~^;)
by tsumutak (2009-04-20 20:54) 

瓦版

実を申すと僕も本件の判定はかなり迷いました。考えようによっては北村・住田弁護士の見解も成り立ちますからね。確かにこれは難しい案件です。
by 瓦版 (2009-04-20 21:12) 

まに

減額されるでしょう。
慰謝料と言うものは、様々な事情を考慮して決定されるもの。
男性Bの経済状況も、当然、考慮の対象になります。
北村・住田弁護士は、不況を軽く見てるようですが、その理由が分かりません。
給料が減っているのは事実。「たいしたことない」と切り捨てるのは、どうなのか?

最終結論も、意味不明。
「心の傷」を、お金に換算するのが、「慰謝料」。
「金額の問題なのに、経済状況は考慮しません」では、矛盾ではないか?

by まに (2009-05-20 22:49) 

瓦版

弁護士と言う職業はやはり国家資格のある職業ですし、その上、彼等は自分達の事務所も持っているわけですから、不況で苦しんでいる人達の気持ちが今一分からないんでしょうね。そういう事情をきちんと分かっているのはこの番組においては後半の2人だけだと(即ち、菊地・本村弁護士のこと)。
by 瓦版 (2009-05-22 01:49) 

枯山孝

『減額される』の見解を挙げた菊地弁護士・本村弁護士を支持いたします。
津村さん・瓦版さんのご指摘通り、夫の収入が下がり、慰謝料の支払能力も
下がっている以上は、正確に金額に反映させる必要があると思います。


…ただ、私も津村さん・瓦版さんと同じく、
北村弁護士・住田弁護士の見解もやや否定しづらい面もあったのですが、
最終的には皆様のご指摘通り、景気を一時的な物と切り捨てた考え方に
疑問を感じたので、減額するべきと言う結論を出しました。

やはり人生「下り坂」の状態と言うのは、なかなか回復しづらいと
思うんですね。今回の場合は離婚前に更に会社の不景気が進んで、
夫が無収入に転落していたかもしれない可能性を考えれば、
妻はいくらかの減額で済んでよかったと考えるべきだと思います。


後、津村さんのご指摘された「560万円でもかなりの高収入」の件ですが…
…これは微妙です。正にどちらにも解釈できます。

このご時世、560万円ならまだ充分高給じゃないかと思う反面、
既に正社員の給料を30%減らさなければいけないぐらい会社が危ない状態では
最悪会社そのものが消滅する危険もある、と言う考え方も出来ますので…
このご時世、正に一寸先は闇ですからねぇ…。
by 枯山孝 (2009-05-30 00:39) 

つるゆう

これは減額されます。
不況によって給料も商品の値段も下がるのが市場の原理なので夫に何の責任もありません。
by つるゆう (2015-05-23 15:50) 

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