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行列のできる法律相談所:出不精だから離婚します?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:出不精だから離婚します?!

出不精だから離婚します?!

 女性Aは、結婚してから5年。
 女性Aは夫と一緒に旅行したかった。
 が、夫の男性Bは極度の出不精。近所の花火大会といったものでも面倒臭がって行きたがらないし、一緒に買い物にも行きたがらない。
 女性Aは、結婚5年目だから、一緒に旅行に行こうと切り出すが、男性Bは拒否。友人と行け、と言う。
 この態度に、女性Aは激怒。
 家族サービスを全くしたがらない夫とは一緒に暮らせない、離婚だ、と。
 男性Bはびっくり。
 男性Bは出不精なのは事実だが、仕事はきっちりしていて、収入を得ている。出不精なのも、休日は家でゴロゴロした方が気が休まるからだった。
 しかし、女性Aは指摘。出不精と言いながら、友人の誘いには乗って、休日に外出している、要するに妻と一緒に行きたくないだけだ、と。
 妻と一緒に外出したがらない夫と離婚できるのか?

判決」では、石渡弁護士以外が「離婚できない」の見解を出した。
 その結果、妻と一緒に外出したがらない夫と離婚できる可能性は30%に。
 最終的には、「旅行や外食は娯楽の一つ。夫は仕事をして最低限の生活費を稼いでいるので、離婚は難しいでしょう」で締めくくられた。

北村弁護士の見解:離婚できない
これは離婚できません。結婚生活というのは、非常に現実的なものですから。最低限の努め――仕事――をして、生活費を稼いでいる。奥さんが遊びに行きたければ、旅行に行くだけのお金も出してあげる。これで充分ですね。他方、奥さんは、夫と旅行したいと言っていますよね。旦那を物凄く愛している場合、これは離婚したいと言う訳がありません。旅行に連れて行ってくれないという理由だけでね。じゃ、この人(妻)なんですか? 自分勝手です。物凄く。なぜならば、夫は自分に奉仕している存在、そういう男でなければいけないという自分本位な考え方。だから、自分を連れて行ってくれないのであれば、他の男に取り替えたい。こういう我が儘な主張な訳です

 北村弁護士の見解は、男性の主張に偏り過ぎている感がない訳でもないが、おおむね納得できる。
 男性Bはきちんと働いていて、収入を得ている。女性Aを束縛せず、旅行に行きたいなら行けばいい、と言っている。
 買い物にすら一緒に行きたがらないのは問題だが、法はここまで出不精な夫を想定してはいない。法的には離婚自由にならないのは仕方ない。
 北村弁護士が指摘しているように、女性Aがこの程度で離婚を切り出すようでは、逆に「休日はとにかく休みたい夫の意向を全く尊重しようとしない無責任な妻」として糾弾されそう。
 男性Bが友人の誘いには乗って外出する、というが、これも会社の付き合いの延長である可能性が高いので、妻をないがしろにしている、とまでは言えなさそう。本人は、実は友人の誘いにもあまり乗りたくないと思っているのかも知れないし。

住田弁護士の見解:離婚できない
今の北村弁護士の話を聞いたら、意見を変えたくなるんですが……。法律的に言いますと、夫婦としての根幹部分に関しては、ある程度ちゃんとやっている。とすると、今の裁判所では、やはり離婚までは認めないだろうと思うんですね。でも、北村先生。離婚したいというのは、別に取り替えたいと思っている訳じゃないんですよ。彼と一緒にいたい、そういう生活をしたいのに、許されないのであれば、離婚するくらいの方がいいということなんですよ

 住田弁護士の見解は、女性Aの立場を理解しつつも、今回のケースでは離婚できない、と述べている。
 やはり収入を得ている、という部分は大きいようだ。
 男性Bが仕事もせず家でゴロゴロしていたら、即座に離婚できる、ということになる。

本村弁護士の見解:離婚できない
妻は、家族サービスは夫の大事な努めであると言っていましたが、旅行とか買い物、外食などは、『遊び、娯楽、贅沢』の部分ですから、結婚生活にどうしても必要なものという訳ではない。旅行に連れて行かないから離婚だというのは、身勝手な主張だと思いますね。ウチはちゃんとやるけどね

 本村弁護士の見解も常識的。
贅沢をさせてくれないから離婚」では、少なくとも裁判所は良い見方をしてくれない。

石渡弁護士の見解:離婚できる
離婚できると思います。彼女(妻)は旅行に行きたいというよりも、あの提案で、結婚記念日に夫婦になれて良かったね、ということを言いたかったんだと思うんですね。それを、面倒臭いという一言で切り捨てるのはやっていけない、という風に判断をしている
 島田紳助の「あれで離婚できますか?」という質問に対して:
不貞をするとか、暴力を振るうとか、そういう帰責事由よりは若干低いとは思うんですね。ただし、今の裁判所の傾向としては、妻があんなにも離婚すると言っているのであれば、例え判決で『離婚してはいけない』と言ったとしても、和解で終わらせることが多いですね

 石渡弁護士の見解も、一定の理解はできる。
 夫婦にとって、結婚記念日は重要でなければならない。
 毎年祝うのを義務付ける必要はないものの、何らかの感情は抱いて当然である。
 それを、「面倒臭いから」と切り捨てられたら、妻が「夫には愛情がない」と判断するようになっても仕方ない。
 いくら仕事をしていて、収入を得ていても、愛情が感じられないようでは、結婚生活を続けても無駄、と裁判所は判断するだろう。
 ただ、最後の部分は蛇足。
離婚の判決は出せないものの、妻が離婚を強く主張するから離婚への和解を勧める」となってしまったら、ほぼ全ての離婚裁判では離婚を最終的に認めることになってしまう。
 離婚裁判で離婚を強く主張しない妻はいないのだから。
 それとも、「離婚できません」の判決を出されて「あ、そうですか。じゃ、離婚は諦めます」と納得してしまう妻がいるとでもいうのか。(^~^;)

枯山孝さんの意見:
一応、私も基本線は『離婚できない』なんですけども。 まず北村弁護士と住田弁護士は……これはどちらの主張も正しいと思います。 夫の立場から見たか、妻の立場から見たかの差であって、少なくともどちらが間違っているとは言いづらい。 ですので、今回は本村弁護士の見解が正しいかと思います。 仕事で金を稼いで収入を得ており、夫としての勤めを果たしている以上、 家族サービスをやらないから離婚と言うのは、さすがに無理があると思います。 で、問題の石渡弁護士なのですが、これも一部は理解できます。 …過去、これは酷いだろ、こんな夫婦とても続けられないだろと言う内容なのに 四人の弁護士が全員「離婚できない」の判定を出した問題がありました。 500万円の貯金を妻に好きに浪費されて3万円にされた夫とか、 上司のお古を押し付けられた夫とか、 既婚だと同僚にチヤホヤされなくなるから会社では独身で通す妻とか。 いくら四人の弁護士が全員揃ってこれは離婚できないと主張しても、こんな夫婦がその後我慢して続けられるとは到底思いづらい。 ですので石渡弁護士の、離婚の判決は出せないものの、長年粘って主張すれば離婚の可能性がある と言う感じの見解も理解出来ない事はないんです。それを当てはめてあげるべき夫婦も居そうなので。 ただ今回の件でそれを持ち出すのはさすがに大げさだと思います…

 これまで、「離婚が認められて当然だろ」というケースで、「認められない」となった例があるのに、今回に限って「認められない可能性が高いが、粘り強く主張し続ければ裁判所も認めざるを得なくなる」というのはおかしい。
 今回のケースは、正直どうでもいいケース。石渡弁護士がこういった見解を出しても、説得力がない。
 もっと深刻なケースで述べてもらいたかった(それらのケースでは石渡弁護士がいなかった、ということもあるのだろうけど(^~^;))

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コメント 2

つるゆう

これは完全に離婚できます。
夫はただ単に妻に我が儘を言って孤立しているだけなんですね。というのは、出不精と言いながら友人の誘いには乗って休日に外出している、要するに妻と一緒に行きたくないだけだという事です。これは夫が妻を嫌いな可能性がありますし、少なくとも妻には関心がないので愛情がなく夫婦関係は破綻していると言っても過言ではありません。
by つるゆう (2015-05-23 16:05) 

瓦版

全く離婚出来ません。見解については北村・本村弁護士の見解が合理的だと考えます。やはり夫婦生活に必要最低限の生活費を支給し、友人との付き合いに対するお金も出してくれる、こんなにいい夫は何処を探してもいないですよ。友人との付き合いには乗る?そんなことは当たり前。もしかすると仕事上の付き合いの可能性さえある。そうなれば尚更です。しかも、家族旅行は結婚生活において必ずしもなければならないものではないという観点からも離婚は尚更難しいと言わざるを得ません。そう考えるとこれは離婚出来ないの見解しか有り得ないと言うことになります。勿論、石渡弁護士の見解も決して分からないわけではありませんが、上述の通り、婚姻生活において家族旅行は必ずなければならないものではない、これが決め手だと言えます。
by 瓦版 (2017-02-19 12:06) 

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