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行列のできる法律相談所:思い出を賠償しろ?! [行列のできる法律相談所]

1. 行列のできる法律相談所:思い出を賠償しろ?!

思い出を賠償しろ?!

 男性Aと女性Bは恋人同士。
 男性Aが自宅の家の合鍵を女性Bに渡し、彼女が自由に出入り出来る程の仲だった。
 ある日、男性Aが自分のパソコンを使っていると、過去の写真データがない事に気付く。
 女性Bに問いただすと、消した、と彼女は答えた。
 女性Bが彼のパソコンを使っていたところ、彼の過去の写真データを発見。
 その中には、彼の過去の恋人との写真も保管されていた。
 女性Bはこれに苛立ち、過去の恋人の写真は勿論、他の写真データも削除してしまったのだ。
 男性Aはこれに激怒。弁償しろ、と迫る。
 二度と復元出来ない思い出の写真データ100枚について、損害賠償をいくら取れるのか?

北村弁護士の見解:50万円
一定の根拠としては、名前や住所などの個人情報が何十万件も流出したケースだと、1件あたり500円、1,000円といった判例があります。過去の楽しかった思い出を、時々振り返りたい人間もいます。そういう人達にとってお金に換算するのは非常に難しいですが、自分の名前と住所が流出した賠償金額が500円、1000円だとすれば、せめてその10倍が妥当であろうという考え方です
本村弁護士の見解に対して >
物が壊された、それについて慰謝料が発生しない、普通はそうなんです。それは何故かというと、物は一般的に復元が可能だからです。写真は別です

 北村弁護士にしては、感情的な見解。
 物理的なモノは復元したり、買い直す事は可能だが、写真はなくなってしまったら復元は不可能。
 その意味では、通常のモノより被害が大きいのは事実。

菊池弁護士の見解:50万円
人から見たら価値のないものかもしれませんが、その人にとっては大事なものなのです。どちらを基準に考えるかです。私は1万円とか5万円などと、他の人から見て価値がないというところで、損害賠償の金額を算定するという冷たい考え方はしません

 菊池弁護士の見解も、感情がこもっている。
 裁判では、他人からすれば大した事なくても、被害者本人からすれば大切、というモノの価値を定めなければならないから難しい。
「無価値」と判断してしまうのは冷淡過ぎるが、といって法外な額を認めてしまうのもおかしいし。

大渕弁護士の見解: 5万円
損害賠償の金額というのは、基本的には物の時価に基づいて算定されます。写真データは、時価がほぼないので0円です。精神的苦痛があるかというところで慰謝料の問題がありますが、物の紛失では精神的苦痛は算定出来ないというのが、今の判例の実務です。どれだけ傷ついたか、どれだけ喪失感を得たのかを、一生懸命立証して、取れる金額が5万円です

本村弁護士の見解: 1万円
本人にとっては大事なものという事は分かりますが、裁判官が値段を付けるとしたら、財産的価値としては殆ど0に近いです。せいぜい1万円つくかつかないかです。これは物損ですから、物を壊した場合には、物の値段を弁償すればそれで足りるのです。それに加えて精神的苦痛に対する慰謝料というのは、物損の場合は基本的に認められないです

大渕・本村弁護士の見解は、弁護士や裁判所が存在する意義を否定する様なもの。
 大渕弁護士は、溺愛するゆるキャラとの写真を誰かが削除したらどうするのか、というコメントに対し「袋叩きにする」という間の抜けた返事を。

 本村弁護士のデータ自体に価値はない、という見解も、コンピュータがなかった時代はともかく、ここまでコンピュータが普及し、データそのものに価値を見出す現代社会にはそぐわない。
 もしデータに価値がないなら、個人情報保護法なんてのはそもそも制定されない。

 今回のケースは、人生経験の差というか、振り返るに値する過去を持つ者と、忘れ去りたい過去しかない者の差が出てしまった感じ。(^~^;)

 思い出の写真が100枚しかなく、バックアップも取っていなかった、というのはおかしい気がするが。
 自分みたいに写真をガンガン撮り、一応バックアップも取っている自分は異常なのか。(^~^;)




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瓦版

また投稿が大分久々になってしまいましたね…。そんな僕の見解ですけれども、まず抑々女性Bの行為は器物損害罪であり、立派な犯罪です、これは非常にマズいです。訴えられたら一発で逮捕はまず間違いありません。仮に男性Aの画像の管理が雑であって、その画像が女性Aにとってはどんなに不愉快なものであったとしても、男性Aの承諾なく消すことは金輪際許されません(勿論、男性Aがそんなことを承諾するとは到底思えませんけれどもね。)。況してや、津村さんも御指摘の通り、写真や画像は一度消してしまったら基本的に復元は出来ません。言うなれば、男性Aにとってこれらの画像はある意味アルバムのようなものです。器物損害罪は量刑は3年以下の懲役乃至は30万円以下の罰金です!また、今回の案件において消された画像の数も100枚と非常に多いことからも満額の30万円を認めても良いのではないかと思います。百歩譲って前述の管理が杜撰であったことを勘案しても最低でも20万円は認めても良いのではないかと思います。ですから、僕は女性Bが受けるべき刑事罰の量刑は懲役3年以下か20~30万円の範囲内の罰金と言う形になるのではと思われます。
by 瓦版 (2014-08-01 00:50) 

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